テーマ性が光るお菓子カップ2017を紐解く。
文:REEFALL編集部 高須基一朗
写真提供:Slack Monsters(スラック・モンスターズ )
毎年、年に一度のペースで開催している本イベント。
今年で4度目の開催となる。
国内でスラックラインをたしなむライダーたちで知らない人はいないであろう、
トリックラインの黎明期より日本を背負って戦い続けてきた久保貴臣氏がプロデュースするイベントである。
ユニークな試合形式で、参加費は各選手が持参する「お菓子」。
参加費となる「お菓子」の上限金額は無く、各々の価値観で持参すれば参加できる。
参加資格に年齢制限なし。
男女混合、プロ&アマ混合の草イベントである。
トーナメントに勝ち上がるにつれて、勝者が敗者からお菓子を獲得し、勝ち上がっていく毎にお菓子が増えていく。
勝敗は、会場にいるすべての観客者(参加選手)の挙手によって確定。
挙手の獲得数の多い選手が勝ち上がりとなる。
会場には、お菓子が戦利品ということも相まって過半数が子供という環境から、日々のスラックラインを通じた子供たちとの関わり方や、子供たちからの人気や信頼を獲得しているかということが大きく勝敗を左右するわけだ。
このことをお菓子カップ関係者は”子供ポイント”と表現し、参戦する大人選手が勝ち上がるための重要視するべきポイントになる。
日々、スラックラインを通じて子供たちと、どうやって接しているかということも、大きな意味を持つ。
それゆえに、スラックラインを楽しんでいる子供たちとの接し方を、
大人たちが今一度考えさせるテーマ性となっており素晴らしい。
アンカー間は30mに高さは150cmとなり、
今月末に開催のGIBBON SLACKLINES主催の日本オープンを想定したセットアップで進行した。
今年の1DAYトーナメントには、なんと総勢22人が参加。
全20試合が行われた。
サプライズゲストとしては、日本を代表するスラックライン・マスターの一人である大阪在住の93(草刈宏之選手)が初参戦。
とはいえ、このお菓子カップは、トリックラインでの技術もさることながら、
前述の通り会場にいる子供たちとのコミュニケーションが勝敗を大きく左右する。
トリックライン技術でいえば、日本のトップライダー達に引けを取らない93が、関西の遠方から参戦していることが仇となり、初戦敗退という驚愕の結果から幕開けとなった。
これが仮に、関西のイベントで初戦の対戦相手が子供でなかったならば、間違いなく初戦敗退の結果にはならなかったであろう。
その他にも、栗田賢二選手、佐々木康之選手、猪鹿野真一選手、舛岡広一選手、更には総合プロデューサーでありながら、選手としても参戦した久保貴臣選手と、そうそうたるメンツが本イベントへ参戦したが、決勝へコマを進めることなく撃沈。
ちなみに余談ではあるが、久保貴臣氏は、総合プロデュサーであり、イベント進行のMCを務め、更には選手として活動と、一人三役をこなしていたあたりが、このお菓子カップのユニークさをさらに盛り立てる演出となっていた。
要するに、プロデューサー久保貴臣氏が、その都度に状況と立場に追われて、てんやわんやになっていることがアットホーム感をさらに強調する形となっている。
お菓子カップというユニークなネーミングを崩さない演出が素晴らしい。
トーナメントの決勝へコマを進めたのは、人気&実力ともに申し分のない、
福田恭巳選手と須藤美青選手の二人。
日本オープンを数週間後に控えての女子頂上決戦の前哨戦となった。
名だたる男子選手が参戦する中で、それを蹴散らして、女子二人が決勝の舞台へ上り詰めていることも、このお菓子カップを象徴するトーナメントの筋書きなきドラマであり、
意外性抜群な結果といえるだろう。
最終試合の決勝戦について久保貴臣氏は、
「世界で通用する女子トップ選手として、決勝戦は本当に素晴らしい戦いでしたね!
観ている人たちも本当に楽しめる技術の高さが光る決勝戦でした。なによりも、二人が盛り上げ上手なところが楽しかったです」
結果は、フロッグやバットフロント、スカイダイブなど安定した縦回転トリックのCOMBOを成功させた須藤美青選手の勝利。
表彰台には
優勝が須藤美青選手
準優勝に福田恭巳選手
3位に佐々木燈選手
4位に栗田賢二選手となった。
続けて久保貴臣氏は、
「今年はぎりぎりで開催日を1週前倒しに変更することになり、もともと参加を予定してくれていた選手たちが参戦できなかった。参加を断念することとなり、迷惑をかけてしまった選手に対して、
まずは、この場を借りてお詫びしたい。本当に申し訳なかったです。
今年のお菓子カップを楽しみにしていて参戦できなかった選手のためにも、引き続き、来年もお菓子カップを開催する予定です。
来年は早い段階で大会日程を発表したいと思っているので、是非ともたくさんの方に参加してもらいたいです。そして、スラックラインの楽しさをイベントを通じて知ってほしいですね」
この数年を振り返れば、国内でのトリックラインでのイベントは競技志向が強まるばかり。
そんな中で、こうしたエンジョイ・トリックライン・コンペが絶やされないことは、
とても大切なことだ。
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