GIBBON NIPPON OPEN2017初日観戦ルポ

 

文:FREEAFALL編集部高須基一朗

写真:MARIKO MATUSBAYASHI

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(初日、会場にて観戦した方、ライブストリーミング動画をご覧になった方には、

より楽しんでいただけるcolumn記事となっております)


まず前提として、本年度より招待制度を設けている日本オープン。 

そして本日、従来のオープントーナメントとは異なり、
2日間のスケジュール終了時に、全選手の順位が確定する
変則的なトーナメント方式が採用されたことが発表された。

結論を言えば、優勝者も決まるが最下位も確定する。
なんともむごい一面を持っているが、
新しいトーナメント形式のスケジュールであり、応援している選手がトーナメントで負けても

順位決定戦へ挑むこととなり、何度も試合を応援できることになった。 

これを前提にして考えると、選手は二日間を戦い続けて最低3試合が保障される。
 

ジュニア男子部門では、
中村陸人選手に田中健介選手のブランドサポートライダーの威信を守る形で2人が順当に勝ち上がり決勝戦へコマを進める。
 

ジュニア女子部門も
竹部栞桜ちゃんと舛岡心音ちゃんと、

こちらも実力ある二人が順当に勝ち上がった。 


マスタークラスも、田中選手と竹中選手の一騎打ちが確定。

ただ、田中選手は、準決勝で中村学選手を相手に、かなり僅差で勝利したと感じている。 

田中選手のダビングの減点が目立ったからである。

明日の決勝ラウンドで3年連続マスタークラス優勝を狙うためには

ダビングの修正が必須になるだろう。


男子一般部門は、米国のアレックス・マンソン選手と名執光星選手 2名の欠場の影響で、
イレギュラーなトーナメントが進行。
14名で開催となった。
 

男子一般の第1試合で試合を予定していたヤン・ローゼ選手は、欠場したアレックス選手と初戦で対戦予定だった。

対戦者がいないために、

単独パフォーマンスでスタートする。 

この単独パフォーマンスも独創性にあふれており、会場のボルテージを一気に温めた。 


第2試合では、昨年までは、豊洲などで毎週のように顔を合わせて一緒に練習環境に身を置いていた早坂航太選手と高科英一選手が対戦。 

この対戦は、公開練習時より

ラインに乗りやすいという印象を持った

早坂選手が試合巧者で進行。

安定したトリック技の連発で早坂選手が盤石に、ノーダメージで勝ち上がる。 

高科選手はバックバウンスの安定する技術を持つ選手。

対する早坂選手は

バックバウンス系の技の安定性が低いが故に

そこをどう工夫して対応するかということが勝敗を分けるポイントであった。 

高科選手が、バックバウンスの安定しない状態で1分ほどを消化してしまい二の足を踏んでしまった状況下。
そこに追い打ちをかけて

早坂選手が決して成功率が高くは無い

バック・タスティックを成功させて先手を打てたのも大きな勝因である。 


第3試合は、頭から全力でぶつかる林映心選手。 

強豪、細江樹選手を相手に持ち得ている技のCOMBOをすべて出し切るものの、やはり技のバリエーションでは、世界王者に輝いた細江樹選手には敵うことはなく敗退となる。 

手加減なしにCOMBOの連発であった。
 

第4試合の
波多野選手と田中輝登選手
第3試合の余波を受ける形で、付け入る隙を全く与えず完膚なきまでに完封勝利で田中選手が勝ち上がる。 

続く準々決勝にて戦うことがこの段階で確定している細江樹選手を牽制する意味でも
強気な試合展開をアピールした。

波多野選手は、相手が格上 田中選手であったことで、落ち着いて自分の技を2分間しっかり演技構成を考えてラインに乗っていた印象。

ロングラインを嗜む彼ゆえに、

ライン 両足でのフィート状態の安定感は抜群であった。


第5試合は、
強豪ブラジルのペドロが圧巻のCOMBOの連発。 

とはいえ、竹部叶大選手が、持ち得ている最大の武器 720度アセンションを何度も果敢にトライしていて、勝敗とは別にぶれない強い精神力を見せて世界王者挑んでいる姿は、とても頼もしかった。
 

第6試合の
松本礼選手と石田創真選手のヘイワイルド同門対決。

 両者、手の内は知り尽くしており、戦いにくい関係値の中、後輩にあたる石田選手が、松本選手を打ち破り、自身初の日本オープンベスト8入りを果たした。


第7試合は、
名執選手の欠場で、大杉徹ことGAPPAIが不戦勝。

第8試合は
平塚健生選手と木下晴稀選手。
ライバル二人、細江樹選手に田中輝登選手が、初戦から本気モード全開の試合をした結果、更に男子一般部門の前半戦の

最終試合ということで、この試合でも木下選手が本気モード全開。
序盤から大技の連発で、平塚選手に付け入るスキを全く見せずに勝利をもぎとった。 


女子一般部門は、招待選手9名からスタートしたがゆえに、
アンダー対戦が一枠設けられて
ランキング下位の二人である松本美紀選手と大西美雪選手が最初に登場。 

松本選手はトリック数が多くない中、
バットにチェストの美しさを武器に戦っている姿をアピールしているのが際立っていた。
模範となるバット&チェストで美しい技であった。 

それに対抗する大西選手は、対照的にバットフロントの大技で応戦。 

対照的な試合運びであったが、大西選手に軍配が上がる。
 

この結果から、ベスト8には、
ジョバンナVS大西美雪選手
田中咲希選手VS須藤美青選手
岡田亜佑美選手VS佐々木燈選手
佐々木優選手VS福田恭巳選手となった

準決勝第1試合

ジョバンナ選手と大西選手は、

やはりチカラ差が顕著に出てしまい、

ジョバンナ選手の圧勝。 

田中咲希選手と須藤美青選手の対戦、
これは田中咲希選手が須藤美青選手を

脅かす技術面での高い成長を見せた。

渡り合って戦えている印象といえる。

須藤選手を相手に、田中選手が最後の最後にフロントサイドの
720度横回転のバットを単発ながら成功させた際には、もしかしたら大物食いをやってのけたかもと、一瞬は思脳裏をよぎったりもしたが、やはり縦回転COMBO技数に勝る須藤選手が勝利。 


岡田選手と佐々木燈選手の試合、

こちらも首の皮一枚、フィート系の技のバリエーションが多い、岡田選手に軍配が上がるが、あと一つ二つフィート技を佐々木燈選手が習得すれば、岡田選手と渡り合えるレベルになるだろうと予感させた。
 

佐々木優選手と福田選手の試合。

やはり本番にはすこぶる本領を発揮する福田選手が完ぺきな演技構成でミスなく勝利。 

とはいえ、佐々木選手も印象深いCOMBOを打ち出してたい。 

バットから後方へバク宙、さらにそこからバットでフロントサイドの全宙返りと
本人が持っている大技としては最高難易度となる技を本番の舞台で仕上げてメイクしていた。 

これは会場の観客から賞賛された。


こうして、

女子4強の牙城を打ち破ることはできなかったものの、
田中咲希選手、佐々木燈選手、佐々木優選手と、国内スラックライン界における第3世代の3人が、今後の女子の勢力図に待ったをかけるであろうことを予感させるほどに技術の向上が見られたので、来年からのトリックライン大会が今から待ち遠しい。 


 そして、男子バスト16で敗戦した8名による
トーナメントBがスタート。 

順位を確定するために、更にふるいにかけた事実上のアンダートーナメントの

戦いとなった。

2名の欠場が影響となり、
高科選手と平塚選手は、ともに不戦勝扱いとなり、

この段階で出場選手14名中、
9位〜11位を確定。 

トーナメントB(アンダートーナメント)の試合は2試合が行われる形となった。 

竹部波多野選手VS林映心選手。 

竹部叶大選手VS松本礼選手。 

こちらもチカラ差がはっきりと

勝敗が確定。
林映心選手が勝利。 

松本礼選手が勝利。 

これによって初日に2連敗を喫してしまった
波多野選手と竹部選手が、
無情にも13位と14位を争う最下位決定戦を明日にひかえることになった。
 

そして、本日のメーンイベント男子ベスト8→ベスト4の準決勝四試合。 

準々決勝第一試合
ヤン・ローゼ選手と早坂航太選手
ヤン・ローゼ選手と早坂選手は2年前の対戦で遺恨を残している。 

当時、GIBBON CUPへ初参戦したヤン・ローゼ選手。
順当に勝ち上がり、決勝戦で早坂選手と戦うものの、
疑惑の判定で
当時、ヤン・ローゼ選手が勝利した。
この判定結果にスラックラインのジャッジングに精通している専門分野たちの間では、判定に抗議すもののも現れ、かなり物議となった。 

その遺恨試合…リベンジマッチとなったのが本日の準決勝第1試合である。 

試合前から鼻息の荒い早坂選手に対して、気迫に押される形で、
頑なに試合開始の先行を譲らないヤン・ローゼ選手。
すでに試合前から駆け引きが存在しており、これを見ているだけで面白かった。 

そして、半ば強引にヤン・ローゼ選手の先行で試合はスタート。 

序盤から会場の客を盛り立てる演出。 

対照的に勝つために得点の高い難易度の大技の連発を多用する早坂選手。 

中盤にはフロッグ・フルの大技からダブルフロントを打ち出し、これはメイクとまではいかなかったが、GIBBONイベントで国内初のトリック披露となった。

そして、終盤にはフロッグ・フルの大技からフロントを一発いれて2COMBOでメイク。 

完全に技術で圧倒して2年前の雪辱を晴らす意味での勝利となった。
 


準々決勝第二試合は
細江樹選手と田中輝登選手。 

すでに幼少期より切磋琢磨してきた二人が久々の直接対決となり、スラックラインファンにはたまらない対決となった。 

ミックスアップとはまさにこのことを言うのだと思う。 

田中選手が大技をつなぐ3COMBOで会場を沸かすと、同じ技を3COMBOつなげて、更に大技を打ち出すなど、両社一歩も譲らぬ展開。
時間の使い方も、ほぼ同じで、両者全く同じ1分24秒のタイムを残す場面もあった。 

これも何か因縁深いものを感じる一コマ。 

最後の最後で、ダブルバック→ダブルフェアレスでメイクをした田中選手の勝利。 

とはいえ、細江樹選手の最後のダブルバック・フィートが成功していたら、どちらに軍配が上がっていたのかは、わからないほど僅差となる技術の応戦だった。 


準々決勝第3試合
ペドロ選手と石田創真選手。 

ここもペドロ選手の技数の多さでペースを乱されてしまった石田選手が、常に後手に回る状況が続いてしまった。結果、後半じり貧となり、ペドロ選手が勝利。
最後に、石田選手のチェスト→ダブルフロントが成功した姿を見れなかったのが残念でならない。 

次回以降に完成された技を見てみたいものだ。
 


準々決勝第4試合
大杉徹選手と木下晴稀選手。 

実は大杉選手、前日の海外選手との浅草→渋谷→豊洲とスラックラインを練習しており、
最後の豊洲であばら骨を負傷。
満身創痍の状態で本イベントへ臨んでいた。 

やはり、その影響は顕著にライン上でも表れており、ほぼトリックの大技は回避して、
スタティック系の技で応戦。 

2分間をユニークな演出で消化していた。 

木下選手は、ベスト16の初戦同様に、精密機械のごとく次々に大技のCOMBOで加点評価のオンパレード。
ノーミスに圧倒的なチカラ差を見せつけて準決勝へコマを進めた。 

 こうして明日のベスト4 

早坂航太選手VS田中輝登選手 

ペドロ選手VS木下晴稀選手となる。 

 明日の決勝ラウンドにはどんなドラマが待っているのか!?   

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