11月はアマチュア3週連続イベント! アマチュア層を更に広めるポイント。
文:FREEFALL編集部 高須基一朗
11月3日(金・祝)YUKIMI-CUP 2017
11月12日(日)第3回 全国スラックラインクラス別大会 in碧南
11月19日(日)第1回 スラックライン全日本選手権大会
3週連続でアマチュア大会へ取材に伺う予定。
専門誌の立場でいえば、ここで活躍する未来ある選手たちを発掘して大会後に記事でピックアップすること。
それは責務だと思う。
そして、その選手たちが日の目を浴びる状況を確立することこそがスラックライン界の未来を明るいものにするからである。
注目すべきアマチュア選手としては、
男子で
石田ソウマ選手
栗田賢二選手
広瀬一真選手。
「OCEAN SLACKLINE」でも活躍した
このアマチュア3強が、残り1ヶ月間で、どこまでトリックライン技術を伸ばしてくるのかが気になるところではあるが、
今回の記事ではアマチュア大会へ参加する選手たちの置かれている練習環境を軸に、東日本と西日本を対比させて記事にしたいと思う。
西日本エリアでスラックライン人口が最も集中しているのが、愛知県、大阪府、兵庫県。
このエリアを中心にして、
前述の石田ソウマ選手と広瀬一真選手などの取り巻く練習環境は非常に整っている。
さらに先月、愛知県出身の細江樹選手がWorld Cup「FULL COMBO」で世界王者へ輝いたことがスラックライン熱の火付けとなり、西日本エリアのスラックライナーたちのコミュニティーの輪が更に広がっている。
練習環境は、もちろん大切だが、そのエリア出身の選手が世界のトップに君臨したことを
証明することは、大きな成果をもたらす。
一緒に練習するものが世界で戦えるということになれば、モチベーションにも大きく影響を与えるからだ。
「室内練習場の安定感」
更に西日本エリアでは、スラックライン室内練習場の充実ぶりが目立つ。
関西初スラックライン専用・室内施設である兵庫県クロニック神戸、
同じく兵庫県のパークM、
9月よりスタートした愛知県名古屋市のガンバデの登場と、
西日本エリアのスラックライン専用 室内施設が次々に登場している充実ぶりが競技人口を増やし、
それを取り巻くアマチュア選手たちの精力的な活動も目立つ。
雨・風の影響を受けず、常時、気軽に練習ができるスラックライン専用の室内練習場は、選手の成長を急速に伸ばす。
ゆえに今後、西日本から非常に能力の優れたトリックライン部門における選手が次々に輩出されていくであろうことは間違いないだろう。
これは関東圏を主軸にしているライダーたちにとっては、非常にうらやましく思える環境である。
関東圏において、
室内で雨風を凌げて集中してトリックラインの練習ができる環境で考えた場合、
●東京都府中市のウエストロック
●東京都江東区豊洲BUDDY
●埼玉県戸田市ミスコンダクト
●千葉県茂原市のambox
以上4か所が該当するだろうか。
余談ではあるが、過去に杉並区ソラニス、台東区インディゴと2か所のスラックライン専用の室内練習場は存在したが、どちらも数年前に惜しまれつつも閉店している。
現状でトリックライン大会へ出場するレベルの選手たちを満足させる、
ラインの張り具合と高さを確立できているのは、
豊洲BUDDY、ミスコンダクト、ambox。
ただし、
豊洲BUDDYは毎週水曜日18時~22時のみで週に一回のみの開催。
ミスコンダクトは不定期ながら金曜日を軸に開催と、
利用者の都合でスラックラインが定期的にできる環境に無い。
この二か所の練習環境はスラックラインが常設されて無いので、練習するための設営を余儀なくされており、練習開始までに少なくとも1時間の時間が奪われる。
それゆえに、限られた時間制限での練習となるわけだ。
豊洲BUDDYもミスコンダクトも、おそらく概算で夕方から実質3時間程度が練習時間となる。
それに比べると、ウエストロックとamboxは、スラックラインが常設状態になるので、設営などに時間を取られることなく営業時間内であれば気軽にトリックラインを楽しめるので、これについては、とても便利だ。
ただし、ウエストロックは、クライミングジムであることが軸にある以上、
スラックラインは初級、中級者向けのセットアップとなっており、少し低めの高さ、短めに張っている。
これは、トリックラインを競技志向で取り組んでる者たちにしたら、少しばかり物足りなく感じるのは事実だろう。
それとamboxについても、千葉県茂原市という立地ゆえに、首都圏近郊のライダーを軸に考えた場合、けっして気軽に行ける場所にない。
以上を踏まえて、
西日本エリアのスラックライン専用施設の立地環境にトリックラインのセットアップ事情などの充実ぶりに比べると、正直に言えば関東圏の室内練習環境は劣る。
何か一つ決定打に欠けるといった物足りなさの状況が、今の関東圏の室内トリックライン練習場の実情になるわけだ。
一つだけ補足すると、都内では体育館を利用したスラックラインの練習環境が数か所存在しているが、エリア在住の住民が体育館利用者として過半数以上いた場合に限り
体育館を利用できるという縛りがある。
本来、区内の小学校や中学校の体育館利用とは、一年ごとに更新があり、
その区内の在住もしくは働く者が半数以上いた場合、
施設を管理する区役所の許可を得て、利用できるルールの上で団体利用が成立している。
それゆえに、スラックラインで体育館利用の申請許可を得ていたとしても、それは基本的には事前登録している申請者のみが利用、限定であるということである。
ルールにのっとり体育館でのスラックライン活動をしてほしいと願う一方で、
では体育館を利用してのバスケットやバレーボールの練習試合で区外の方が練習相手として体育館を利用した場合は、どうなのかというと、それは暗黙のルールで利用できるグレーゾーンの利用者が多いのも事実だ。
それならば、体育館のスラックライン利用も幅広く区外の者たちも利用できたら良いのにと思ったりもするが、現段階でルールを破るような行動で荒波を立てることは得策ではない。
では野外で開催している練習環境の充実ぶりということを軸にして考えてみよう。
ご存知の方も多いと思うが、西日本エリアに比べると、関東圏はトリックラインをやるために、公園などの公共施設を利用すること自体に、寛大に受け入れ態勢が整っていない。
どちらかといえば、公園敷地内でスラックラインをやることに対して管理する行政機関からは否定的な意見が多い。
それゆえに、首都圏近郊での野外でトリックラインの練習ができる場所も片手に数える程度だ。
これは元をたどれば、代々木公園の公園管理課の影響力を持つ”お偉いさん”が、スラックラインに対して、えらく否定的な意見をもっており、
代々木公園が「スラックラインNG」ということが引き金となり、都内23区・公園管理課の担当者の耳に届き、この情報が拡散し、
23区の多くの公園でスラックラインが樹木をアンカーにして張れない現状にある。
とはいえ、必ずしも絶対にスラックラインを公園で張ることがダメということではなく、
野外スラックラインに対して行政が厳しい見解を持つ真っ只中でも、
公園を管理する役場の人間と話し合いを持って許可を取った場所もある。
関東圏・都内近郊で判断した際に、代表的な場所でいえば、埼玉県朝霞市「朝霞の森」であろう。
トリックラインの定期練習を開催できる環境がすべて整っている。
朝霞市在住の西夫妻の尽力によって、話し合いを積み重ねて行政の理解を得て、
努力の上でスラックラインが市民権を得ているといえる。
「7年前は東京の公園で、どこでもスラックラインができた」
振りかえって7年ほど前、筆者がトリックラインに熱量を持って取り組んでいた時代には、東京のど真ん中、文京区役所を目の前にする丸の内線 後楽園駅の横 森林広場(東京ドーム横)や、
首都高速神田橋出口の神田橋公園などの人目をひく目立つ場所で、堂々とトリックラインの練習をしていたことを考えると、関東圏の現在のライダーたちは、場所を選べずに肩身の狭い状況でトリックラインをやっていることになる。
また、時には豊島区役所前の広場でトリックラインを行い、区の職員が一緒になってトリックラインを平日の昼休みにやってくれたこともあった。
筆者は、仕事がら移動が多い。
移動の合間の昼休みにはランチを食べながら、様々な公園でスラックラインを張ってランチタイムを有意義に活用していた。
移動先の近場でスラックラインが張れる程度の良い公園を探すのがいつも楽しみでならなかった。
当時は、まだまだスラックラインの知名度が低かったこともあり、行政の対応も明確に結論ずいていない中だったことが前提であったことは否めないが。
「公園で誰もが気軽にスラックラインが張れることについて考えよう」
この現状を打開するためには、日本スラックライン連盟が中心となって音頭を取り、
都内での公園敷地内での野外スラックラインを実現するために、
公園を管理する行政と話し合いを持つ必要性があると感じている。
公園内でトリックラインを張れる環境が増えれば、おのずとスラックライン人口が増えるのだから、連盟にとってもこれを実現できればメリットの何物でもない。
そして、どこでも張れる環境が整えば、筆者が過去に経験したような
各々の判断において単独で公園で張ることもできるであろう。
アマチュア選手向けのイベントが今年11月に3週にわたり開催している実情を考えても、
更にアマチュア・イベントは一層増えていくことになる。
アマチュア層のすそ野をより広めるためには、公園で気軽に利用できるスラックラインとして
関東圏の公園でスラックライナーたちが市民権を得ることこそが絶対条件になっていくと感じている。
この練習環境という観点を元にした分析から、関東圏の公園事情を緩和しない限り、
更には、年がら年中いつでも気軽にできる室内練習場の確立ができない限り、
今後、モンスター級のトリックライナーが登場するであろう人数は、
西日本エリアのライダーと比較した場合、関東圏のライダー数も統計的に低くなるのは必然ともいえる。
アマチュア大会が増えることはとても素晴らしいことだが、
それに呼応するように練習環境の拡大、拡張、整備をもっと真剣に考えていかなければならない。
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