NIPPON OPEN2018-初日を終えて

文: FREEFALL編集部 高須基一朗

大会当日、

各カテゴリーの予選ジャムセッションの組み合わせが正式発表。 

GIBBON CUP三大会分での合計点数が反映される形で、 

オープン男子/女子が4人1組に

グループに分けられジャムセッションとなった。

またジュニア男子/女子とマスターの各3部門は5人でジャムセッション後に

1名のみ脱落となり、4名が明日の決勝トーナメントへ進んだ。 (下記画像参照)


オープン男子では、
各4つのグループにおけるジャムセッションにて1位と2位の2名が勝ち上がりとして、

合計8名が「ベスト16トーナメント表」の8つの端に名を連ねて、あとは各グループの順位ごとに、トーナメントの枠を埋めていき、

残りの8名が振り分けられていった。

8名の勝ち上がりの面々については、

国内トリックライナーたちの力量を把握する方ならば、何ら驚く状況にはなかったはずだ。 

ただ、正式なトーナメントが確定すると因果なものでチーム戦の事情が浮き彫りとなる。

やはり専門誌を手掛ける立場である以上、

ベスト8の生き残りをかけた戦いに、興味深い人間ドラマが浮き彫りとなれば、

これを切り取ってコラム記事とさせていただくのは至極当然なこと。

もちろん専門誌としての穿った見方といわれたらそれまでだが、楽しんで本コラムを読んでくれたら本望である。 


まずはベスト8をかけた決勝トーナメント1回戦で、
Heywild(ヘイワイルド)の看板選手である3名すべてが、
小布施スラックライン部の若手選手たちに撃沈され続ける衝撃の結果についてだ。 

決勝トーナメント1回戦の各試合の結果は以下の通りである。

メイン・イベント8試合中で、 

第2試合で
林映心選手vs松本礼選手(林映心選手の勝利) 

第6試合で
大杉徹選手vs田中健介選手(田中健介選手の勝利) 

第7試合で
中村侑我選手vs石田創真選手(中村侑我選手の勝利) 


両チームの国内におけるパワーバランスで考えたら、

小布施スラックライン部の10代の若手3人が老舗チームHeywildの選手たちを相手に3戦全勝となれば、

業界に向けて非常にインパクトを与えた結果であったと思う。

小布施スラックライン部としても、この3連勝は快挙といっていいだろう。

また、ここにチームの筆頭選手の木下晴稀選手もベスト8入りをはたしている事情も踏まえて考えると、国内最高峰を決める大会で8強に半数にあたる4名が小布施スラックライン部の選手となるわけだ。

このインパクトは大きい。

ちなみに7試合目については、本当に接戦であった。

試合時間が両者供に

残り時間30秒あたりでは、優越を決定づける決定打となる技は無く、そう大差がなかったはずだ。 

ただ、最終15秒からバット・ダブル・バックをきっかけにCOMBOでつなげた中村侑我選手と、それに対抗する武器としてダブル・フロントで挑んだ最後の大技の見せ所でクリーンメイクできなかった石田創真選手。 

ここが勝負の分かれ目となり、中村侑我選手に軍配が上がる。 

石田創真選手は、このJOに向けて熟知たる思いで練習を重ねて挑んだ経緯がある以上、ジャッジの軍配が中村侑我選手に挙がった瞬間に、
石田選手が落胆し腰を落としてうなだれてしまった姿が、非常に印象深く
悔しさがにじみ出る状況であった。 

お互いが力量を認め合う中、

最高のパフォーマンスで、持ち得る技を数々クリーンメイクしていた。

初日の対戦の中で間違いなくこの試合がベストバウトであったといえる。 


本大会は、実は前年度のJOに比べるとラインの長さは1㎡弱ほど少し短い。 

これは、成長とともに体系が大きくなっている

田中輝登選手、木下晴稀選手、
そして本大会で初参戦となる大柄な体の持ち主であるアリソン選手と、
このあたりの本大会で活躍が予想される選手たちを一つの基準として、ラインの距離を長くしてしまうとトリック中に高さを出すためにラインを張力を生むために体で押し込んだ際に、必要以上に沈み込んでしまいトリックラインがやりにくい事情になってしまうことを回避するための措置だ。 

更に大柄な選手ほど大技でミスをした際に大怪我をするリスクは高くなるわけで、

リスクヘッジするために距離が短くされた。 

本来ならば、「ラインの長さ」に「フレームの高さ」と「テンショニングの強さ」と、
世界大会などのラインスペックの水準に近づけたいと運営側も思ってはいるのだが、
開催場所の二子玉川ライズの特設会場の利用できるスペース的に、現状のセッティングでの大会開催が限界の状況にある。 

またフレームの高さも、あれ以上に高くするとラインに弾かれた際に、

お客様のエリアにまで危険に飛び込むことが予測できており、あれ以上は高く設定できないという。 

今後、JOを開催するには、この場所での開催に限界がきているのかもしれない。


明日の準々決勝の舞台に名乗りを上げた8名の選手たちの今後の戦いの展望について少し触れたい。 


田中輝登選手は本大会のラインスペックに、かなり適応している。 

ベスト16での試合運びを見る限り、対戦相手によって、トリックの成功率は多少は変わるにせよ、

大技系でつなげるCOMBOの完成度をこのJOに向けて仕上げてきていると感じた。

決勝まで上がってくる可能性については、かなり高い。


木下晴稀選手は、先週、小布施で開催された「FULL COMBO」での優勝から上り調子。

まず前提として、先週末の大会での優勝に向けて90秒をフルコンボする反復練習を続けて

トリックラインでの有酸素運動を多く取り入れたので体のキレがある。

ゆえに、とにかく粘り強くラインから落ちない。
フィートからつなぐ技でも「落ちないテクニック」に磨きがかかっている。 

GIBBON CUP山梨大会で時間内で成功とならなかったフロントサイド横軸1080(3回転)を、

早坂航太戦で打ち出すのか!?それともアブラハム戦で打つのか!?
国内初だしとなる1080の大技をどのタイミングで出してくるのかが優勝を引き寄せる
命運を分けると踏んでいる。
 

中村侑我選手は、明日の準々決勝にてvs田中輝登選手を相手に、自分のペースを崩さずに戦い切れるかがポイントだ。
ダブルバックからのCOMBO、バキシマスからのCOMBO、バックタスティックからのCOMBO等々、つなぎ技の仕上がり次第でぎりぎりで勝てるかというところかと思う。

思い切った戦略の勝負に出て

コンボで繋ぎクリーンメイクをしていかないといけない。

 

早坂航太選手は、フロッグフルを封印しているので、これを木下晴稀選手との対戦で出してくるのかがポイントだろう。 

そしてベスト16の試合でかなりの数をフィート系の技を打ち込んでクリーンメイクしていたので、ここのポイントを取って勝ち上がる突破口にしようと考えているのではないだろうか。
 


そして小布施のキッズライダーの双極である林映心選手に田中健介選手。 

林映心選手はアブラハム選手と対戦。 

田中健介選手はアリソン選手と対戦。 

どちらも今日の調子を見ると勢いがあり、状況によっては大物食いはあるような気がする。
 


これに対抗して、アリソン選手とアブラハム選手。
優勝候補筆頭です。 

この二人が優勝決定戦に上がってくる可能性も捨てきれない。 


女子オープン/ジュニア男子/ジュニア女子/マスター 

4つのカテゴリーについては
明日の最終結果後の総括記事でまとめて寄稿したいと思う。 

JO最終決戦…どちらにしても
下馬評を覆すサプライズが観たいものだ。    

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