GMG-YUGA編
【写真左 木下晴稀選手、右 中村侑我選手】
文:FRFEEFALL編集部高須基一朗
長野県を拠点にする小布施スラックライン部のチームに所属し、HARUKI(木下晴稀)とともに活動をしているYUGA(本名:中村侑我)。
同時期にスラックラインをはじめた親友HARUKIと比べると、結果だけを振り返れば、この一年は鳴りを潜めていることもまた事実。
とはいえ二人三脚でHARUKIとともに切磋琢磨して、トリックラインの技術を進化させてきたライダーであり、間違いなく日本トップライダーの一人といえる。
今では、HARUKI、ITSUKI(細江樹選手)、TERUTO(田中輝登選手)、そして、このYUGAを含めた四人が、日本のトリックライン部門における新四天王と呼ぶにふさわしき実力者である。
技術面を見れば、なんといっても豪快な高さのあるパフォーマンス重視のフリップ系のコンボが魅力。
フロントにバックにと縦軸の安定した大技は圧巻である。
一昨日は本サイトのcolumn特集で細江樹選手、昨日は木下晴稀選手について、ともに来週末に参戦予定のGOPRO Mountain Games(以下、GMG)を軸にして記事にした。
そして、この二人同様に高校三年生にしてGMGへ参戦することを表明しているのがYUGA。
本日のcolumnでは、このYUGAのGMG挑戦についても紐解いていこうと思う。
実は昨日、YUGAに海外遠征への想いについて確認したいことがあり電話取材を敢行した。
YUGAが今年のGMGでHARUKI,
ITSUKIともに表彰台に上がり、日本人が表彰台を独占することこそが、一つの歴史になるということについてだ。
おそらくHARUKIとITSUKIに関しては、表彰台に上がることは、ほぼ間違いない。
もちろん勝負事には絶対はないので、終わってみなければわからないではないかという意見もわかる。
それでも、今現在の彼らの実力ならば、どんなに絶不調でもISI国際ルールの90秒間の競技採点で、二人のたたき出す高得点を脅かすことは難しいだろう。
もっと言えば、彼ら二人と技術面で渡り合える外国人強豪選手は片手に数えるぐらいだ。
その強豪選手の大半がトランプ政権下にあるアメリカへ、テロ対策の一環として入国できない立場の南米系の選手であることから、今回のGMGへの参戦を断念している。
故に、今年度のGMGの舞台において、日本人が中心になり、活躍するであろうことも容易に予想できる。
ただ補足しておきたい事がある。
仮に海外の強豪選手達が参戦していたとしても、HARUKIやITSUKIの2人は、注目株として脚光をあびる存在には変わりない。
そうなると、世界チャンピオンのタイトルを奪取することが、HARUKIとITSUKIの二人の掲げるミッションになっている。
しかし、今回のGMGでYUGAに課せられているミッションは、前述の通り、この二人とは少し違う。
前提として、スラックラインの世界大会へ出場を経験をすることは彼には間違いなく成長を促す意味でプラスになるが、それと同じか それ以上に、高校三年生で大学進学を考えているYUGAにとってみれば、この時期での進路の確定と勉強に費やす時間はとても大切だ。
天秤にかけて両立する難しさを感じながらも、それでも限られた時間の中で、アメリカへのスラックライン遠征を決断した。
昨夜、電話取材で話して本人にあらためて確認したが、学業優先で練習に費やす時間が極めて少なくなっている現状で、HARUKIやITSUKIの実力に太刀打ちできるだけの準備が100パーセントでない事実を本人も受け入れた上で、日本のスラックライン・ファンにどういった吉報を届けられるのかというテーマを掲げ、GMGに挑む意気込みだ。
もっと具体的に言うならば、表彰台の3番手に上がるために必要な最高のパフォーマンスをやってのけっることができるのかにつきる。
ISI国際ルールの競技採点で、彼が持ち得る技の合算で500点を上回ることを達成できたならば、彼は世界最高峰の舞台で表彰台に上がる快挙をぐぐっと引き寄せるわけだ。
YUGAの現状での技術レベルでは、今年のGMGで世界チャンピオンを狙うのは非常に困難なことだ。
とはいえ今回の渡米した経験を活かし、
来年、再来年と更に高みを目指すために技術を磨いてい、いつかは世界一に辿り着いてもらいたいものだ。
とにもかくにも、来週末の日曜日に高校三年生の三人が屈託のない笑顔で、揃って表彰台を独占している姿を見たいと期待だけが膨らみ続けている。
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